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浴衣の衿はどっちが前?浴衣の着方を覚えよう

夏といえば、夏祭りや花火大会、様々なイベントが行われる活発な時期です。それらのイベントに着ていきたい服装といえばダントツで「浴衣」ですよね。浴衣は今や夏の風物詩。普段着物を着ない人でも、「夏になれば浴衣を着たい!」と思うことは多いのではないでしょうか。

そこで迷うのが浴衣の着かたですよね。どんな手順で着たらいいのか、正しい着姿は?普段なかなか自分で着る機会がないものだからこそ、わからないことがたくさん。そんな中でも特に多い疑問が、「どちらの衿が前にくるのか」ということ。正しい浴衣の着方を一緒に確認していきましょう。

1.着物や浴衣の「前合わせ」「右前」「左前」とは?

着物や浴衣の「前合わせ」「右前」「左前」とは?

実際に着物や浴衣を着用する際、「右前と左前のどちらが上になる?」、「どっちを上にすべきかルールはあるの?」「マナー違反になったりしない??」など疑問に思った経験はありませんか?現代の多くの方にとっては、着物を着る機会が少ないこともあり、右前と左前を間違えて着付けてしまう可能性があります。しかし、着物を着る際に衿のどちらを前にするのかにはきちんとした理由があるため、それを理解したうえで間違えないように着付けすることが大切です。

前合わせとは、着物の前身頃を重ねることであり、「相手から見た状態」を指します。着物にはどちらの衿が前に来るかによって、「右前」、「左前」と呼び方が変わります。このことを踏まえて、「右前」「左前」の違いを見ていきましょう。

右前(みぎまえ)

右前とは、「相手から見て着物の右衿が左衿の上」になっている状態のことです。自分から見ると「左の衿が上」になるため、右前と左前を勘違いしまう可能性があります。

左前(ひだりまえ)

左前とは、「相手から見て着物の左衿が右衿の上」になっている状態です。したがって、左前を自分から見た場合、「右衿が上」になります。

浴衣の衿の前合わせ

2.右前にして着るルールはどうして生まれたの?

右前にして着るルールはどうして生まれたの?

では、どうして「右前」「左前」のルールが決まったのでしょうか。もともと着物は、中国から伝わった服装です。日本人が着物を着用し始めた頃は、着物の着かたに明確なルールは存在しませんでした。左前に着ていても、当時であれば違和感も支障もなかったものと考えられます。

着物の着方のルールは719年に着物・浴衣の着用を定めた、「衣服令」と呼ばれる法律によって決められたと言われています。当時の天皇が発表した法律には「どのような身分のものもすべて右前にするように」と書かれています。それまでは中国でも着物を左前に着用する方式が流行していました。そして左前は戦場などで戦うときに便利な着装方法でもありました。しかし、左前は中国で異民族を指す、「胡人」の服装であったため、中国の身分の高い人々からは嫌われ、右前が定着したようです。その中国で右前に着こなすことが流行しているのを見て、当時の日本でも最新の着物の着方として右前が取り入れられたとする説が有力と考えられているようです。

3.着物の左前は縁起が悪い?

着物の左前は縁起が悪い?

着物を左前にして着る着方は、一般的に「死に装束」と考えられており、あまり縁起のいいものではありません。生きている人は右前、なくなった方が左前の着姿になります。着物や浴衣を着る際は洋服と混同して間違えないように注意が必要です。また「右前」が普通の状態ですので、間違って左前にしてお祭りなどに行くと、時々知らない人から衿について指摘されてしまい、恥ずかしい思いをする事があります。

4.男性も右前で着用するの?

着物と洋服では前合わせのルーツが異なるため、男性も着物は右前にして着ます。洋服の場合、男性の衣服はボタンが付いている方が右側、ボタン穴が付いている方が左の、左前で作られています。そもそも洋服では、男性と女性でボタンの付け方が異なります。一説では、上流階級の女性はドレスを人に着せてもらうことが多く、ボタンホールが右側についているほうが着せやすかったからであると言われています。男性は自分で服を着るため「右利きの場合はボタンホールが左に来る方が留めやすい」というわけです。しかし、あくまでもボタンホールの男女差は欧米の風習で、日本のルールとは異なることに注意しましょう。

5.浴衣の着付け方法

浴衣は他の着物と比べると着用方法が簡単で、自分で着付けにチャレンジする人も多いでしょう。以下へ着付けのポイントを紹介いたしますので是非参考にしてみてください。動画や画像で詳しく確認したい方は関連記事「浴衣の着付け方」をぜひご覧ください。

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浴衣の着付け方

女性の浴衣の着付け方法1

まず、汗を吸い取り浴衣の汚れを防ぐために肌着を着用しましょう。浴衣の貼り付を防ぐため直接浴衣を着るよりも涼しく感じられるでしょう。肌襦袢を着たら、出来るだけ体に凹凸がないようにお手持ちのタオルなどでボディラインを補正します。

次に浴衣を羽織り、着物の背縫い(背中の中心にある縫い目のこと)ラインが背中の中心になるよう前衿をしっかり引っ張って整えます。左右の掛け衿を片手で持ち、もう片方の手で背縫いをもって前後に引いて衣紋(えもん)を抜きます。※「衣紋を抜く」とは衿を首にぴったり付けずに少し間を開けてうなじ部分を露出することです。

衿先(えりさき)をもって裾(すそ)を一度上げてから、裾のラインをくるぶしにすこしかかる位置に決めます。そのまま上前(うわまえ)の脇縫いを右の脇線に合わせ固定したら、余った部分を右手で引っ張りましょう。上前をまっすぐ戻し、下前を左の脇線に合わせます。この時、下前の裾が地面から20cm程の高さになるように調整をしておきましょう。再度上前を下前の上に被せ、しっかりと右手で固定します。

右手は固定したまま、左手で余っている部分を前後共に上へあげ、腰回りをスッキリさせます。左手でこしひもの中心をもって上前を抑え、後ろで交差させて腰骨の少し上あたりをしっかりと結びます。

再度、掛け衿と背縫いを持って中心を合わせ、衣紋がきちんと抜けているか確認しておきましょう。

身八ツ口から手を入れておはしょりを整え、下前を上前の内側で三角形に整え、上前をかぶせると綺麗なおはしょりができます。お腹側のおはしょりを整理したら背中側も同様に整えます。腰紐の上にベルト付きの帯板を付けます。

■ポイント■

慣れないうちは下前を上前の内側で三角形に整えることが難しく感じるかもしれません。何度かチャレンジしてぴったりの長さを見つけてみましょう。

女性の浴衣の着付け方法2

帯の先端から50〜60cm程度を縦半分に折ります(手先をつくる)。帯の先端は右肩にかけ、残りの帯を広げ、腰にぎゅっと二巻き。帯を締めるときは帯の下を持つと締めやすいです。

手先と反対側の帯端(たれ)を右脇の下から綺麗に三角形におって帯幅を半分にします。手先とたれを帯の上のラインに沿わせるようにしっかりと結びます。結び目を縦にするとほどけにくくなります。

残った帯を縦半分におり、肩に掛けていた帯先を上にして結びます。余った帯を肩幅に合わせてぱたんぱたんと内側に折りたたんでいきます。折りたたんだ帯を縦三等分に折り、もう一方の帯先で二周巻きます。

余った帯先は胴に巻いた帯の中に入れ込み、帯の形を整え、右手は帯左手で後ろ側の帯を掴み、ゆっくり後ろに回したら完成です。

女性の浴衣姿は男性と比べて、違いがいくつかあります。合わせてポイントを押さえておきましょう。女性の浴衣姿は、衣紋を抜くことでうなじ部分がよく見えて、より美しい後ろ姿になります。男性には衣紋を抜く必要がありません。逆に男性が衣紋を抜くと少し野暮な印象になってしまいます。男性はスーツでもそうですが、キチッと着こなす方が素敵な印象に見えます。

もうひとつ違う点は、女性の浴衣は基本的にフリーサイズであること。身長約150cm〜170cmまで着ることができます。というのも、女性はサイズが大きくてもおはしょりを作り、身丈に合わせて調整ができるからです。サイズを調整して折り返した部分のことを「おはしょり」といいます。身丈を調整する場合は「おはしょり」を調整するという言い方をするので、覚えておきましょう。

浴衣のおはしょり
浴衣をきれいに着る際のコツ

衿の角度はさほど深くする必要はありません。深く作りすぎてしまうと、ルーズに見えてしまったり、着ているうちに着崩れてしまう原因となります。

衿元がはだける原因の1つとして、腰紐やコーリンベルトの位置が合っていないことが考えられます。すぐに腰紐の位置がずれてしまい着崩れるようなら、腰紐の位置を変えてみましょう。腰紐の場合はやや上の方で結ぶほうが、衿元の崩れを防げます。

男性の浴衣の着付け方法1

浴衣を着て、着物の背縫い(背中の中心にある縫い目のこと)ラインが背中の中心になるよう前衿をしっかり引っ張って整えます。

右衿を左脇に入れます。左衿を右衿の上から重ねます。衿部分を喉仏に沿うように合わせていきます。右手で形が崩れないように押さえながら、左手に腰紐を持ち、右手で形を保ちながら、腰紐を持って、腰骨の上あたりに紐を押さえます。

紐を腰に巻き付け交差させてぎゅっと引っ張ります。結び方に決まりはありませんが、途中でゆるんでくることのないよう、しっかりと結べる方法で結びましょう。

男性の浴衣の着付け方法2

帯の先端を40cmぐらいの縦半分を斜めにおり、「手先」をつくります。手先を、腰の幅程度に合わせた位置から帯を広げ一巻きします。

一巻きしたら、手先を持ってギュッと締め、2巻目を巻きます。

余った帯を折り畳み、帯の中に入れていきます。最後に手先と結ぶため、肩幅分の帯の長さを残しておき、右側の帯(折りたたんだ帯)を上から下に通すようにして手先と結びます。縦方向に強く結びます(このとき、幅の細い手先は下、幅の広い帯が上です)。

上側の帯(幅の広い帯)を下に落とし、右斜めに折ります。折ることでできた輪っかに、幅の細い手先を通して結んだら完成です。

男性浴衣は女性浴衣に比べて着付けが楽チンです。というのも、男性浴衣はフリーサイズではなくあらかじめサイズが決まっていて調整する必要がないからです。ただその分、浴衣を購入するときには自分の身丈に適したサイズを選ばなければなりません。

男性浴衣の着付け
男性浴衣 サイズ選びのポイント

・丈の長さはくるぶしに少しかかるくらい
・袖は手首が見えるくらい
人間は首部分に魅力を感じるもの。時計やネックレスは手首や首につける装飾品ですよね。なぜそれらの装飾品が首部分につけられるのか、それは首部分が注目されやすいからです。浴衣も同様、できるだけ足首、手首を見せてあげるとかっこいい着こなしになりますよ。

■浴衣を着てスマホで撮影する際に気を付けておきたい事■

インカメで着物撮影を行う場合は、左右が逆になってしまいますので、スマホなどで自撮りする場合は注意しましょう。

6.まとめ

浴衣の衿はどっちが前?浴衣の着方を覚えようのまとめ

浴衣の襟合わせのマナーについて解説してきました。

・襟は「右前」で自分から見て「左側が上」が正しい
・「左前」は死装束の作法なので絶対に間違えないように
・男女ともに着物の合わせ方は「右前」が正しい
・スマホの自撮り写真は左右が反転することを覚えておく

着物の着方を間違えるとマナーや常識を知らないと思われるので、必ず「右前」になるように注意しましょう。正しく着付けて素敵な夏の思い出にしたいですね。

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越子(えつこ)

着物に携わること50年。着物の仕入れやコーディネート・着付け・リメイクまで幅広くこなします。自分の着付けはもちろん、友人や親戚から着付けを頼まれることも。 趣味は友達と着物で京都散策をすること。 お抹茶と和菓子が好きです。
◆資格・免許◆日本和装協会認定資格/染織補正士/きもの文化検定/和裁技能士

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