晴れ着を着るときのマナーは? 結婚式や入学式・卒業式に適した着物を解説
結婚式や披露宴、入学式、卒業式など大切な節目には晴れ着で出席したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
着物には「格」があり、立場やシーンに合わせた格の着物を着るのがマナー。
もし、格のそぐわない着物を着用していくと、相手に失礼になったり、恥ずかしい思いをしたりすることになるかもしれません。
本記事では、結婚式や入学・卒業式に適した着物の種類を紹介するとともに、着物を着る際に押さえておきたいポイントやマナーを解説します。
1. 結婚式に適した着物の種類
結婚式は晴れ着を着ていくのに最適な場面です。親族だけでなく、友人や会社の同僚など、どのような方でも晴れ着を着るのに問題はありません。
ただし結婚式の場合、どういった立場で参列するかによって選ぶべき着物の格が変わります。
●振袖
振袖は成人式の装いと考えがちですが、成人式に限らずさまざまなシーンで身に付けられる着物です。
基本的に振袖は、未婚の女性の第一礼装です。この振袖の袖丈は数種類あります。
袖の長さがくるぶしくらいまであり、袖丈が110cm前後の最も格式の高い振袖が大振袖、次に袖の長さがふくらはぎくらいの中振袖、
袖丈が76~86㎝の小振袖が主な3タイプです。
振袖は未婚の女性であれば、親族、友人いずれが身に付けても問題ありません。結婚式に参列する際にも問題なく着用できます。むしろ会場が華やかになり喜ばれる装いの一つと言えるでしょう。
また結婚式参列での振袖に悩まれた場合は、小振袖以外のものをおすすめさせていただいております。
●黒留袖
黒留袖は、既婚女性の着用する着物のなかでもっとも格の高い第一礼装の着物で、新郎新婦のお母様をはじめ、祖母、叔母など親族が身に付ける着物です。
黒地で、裾元に格式の高い柄が入っています。染め抜き日向紋が背中心、両後ろ袖、両胸の五か所につけられています。
黒留袖は主催者側が身に付ける装いのため、友人や会社の同僚など、ゲストが着用することはマナー違反です。
反対に新郎新婦の親族・親戚は、結婚式では主役と共にお客様をお迎えする立場であるため、もっとも格の高い着物を着用します。
●色留袖
色留袖とは、黒以外の色で地色を染めた留袖で黒留袖と同様に裾元に格式の高い柄が入っているものを指します。
色留袖は既婚・未婚関係なく着られる着物で、染め抜き五つ紋がついたものは、黒留袖と同格になります。
黒留袖と異なり、色の種類も豊富で華やかな印象のため、結婚式では未婚の親族が身に付ける着物として近年重宝されています。
主賓として招かれているゲストにもおすすめの着物です。
主賓の場合、三つ紋付きか一つ紋付きの色留袖にすれば格式としても申し分なく、主催者側にも失礼のない装いになります。
●訪問着
訪問着も既婚・未婚関係なく着られ、さまざまなシーンで活用できる準礼装の着物です。
結婚式の場合、友人や会社の同僚などゲストとして招かれている場合に身に付けます。
ただし、いずれの立場でもスピーチや余興等で壇上に上がる場合には、できれば一つ紋以上の訪問着を着用していた方がよりふさわしいでしょう。
主賓で訪問着を着用する場合も、紋付きが望まれます。
2. 結婚式で着物を着るポイント
結婚式に着物を着て出席する場合、花嫁の衣装と被る白、留袖と見間違えられるような黒っぽい色は避けるようにしましょう。
これは着物に限ったことではありませんが、結婚式のゲストにとって最低限のマナーです。
淡いピンクや水色、薄紫、グレーなど、明るく品のある色味に、吉祥柄など古典柄が入ったものなどを選ぶとよいでしょう。
留袖を着る親族は、新郎新婦のお母様より華やかにならないよう、柄の数や色味を抑えた落ち着きのあるものが望ましい装いです。
3. 結婚式で着物にまつわるマナー
帯は袋帯で二重太鼓に結ぶのが、結婚式に晴れ着を着用するときのマナーです。半衿は白を選びましょう。
黒留袖や、親族として着る色留袖(正装)の場合、帯締めには白、もしくは白に金糸・銀糸が加えられたものを使用します。
第一礼装として留袖を着用する場合、色物の帯締めは使えません。
招待客側で、かつカジュアルな結婚式であり、一つ紋の色留袖を訪問着風に着る場合も、あまり濃い色は選ばず、淡い上品な色合わせにするのがおすすめです。
帯留めはフォーマルなシーンでは付けなくてかまいませんが、付ける場合には宝石や蒔絵など高級感のあるものをつけましょう。
足袋は白が基本です。4枚こはぜの足袋ならぴったりとフィットし、フォーマルなシーンで恥ずかしくない装いになるでしょう。
草履や長襦袢は淡い色を選び、品良くまとめるのもマナーです。